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「縦読み」に隠された民喜の心

こんにちは。

 

2日続けて、カープ関連で「縦読み」情報を伝えました。

 

「縦読み」というと、以前、遠藤周作作品の研究者の方からお聞きした話を思い出しました。

 

 

遠藤周作さんは学生時代、広島出身の作家「原民喜」(はら・たみき 1905-1951)さんととても親しくしていました。

 

シャイ(恥ずかしがり屋)な二人はなかなか人とは親しくなれない性格。とはいえ、遠藤さんが「シャイ」というのと、民喜さんが「シャイ」というのは、レベルが違う。

 

民喜さんにとって、遠藤さんの存在はかけがえのないものだったようです。

 

1950年6月、横浜港から遠藤さんを乗せた船がフランスに向けて出航して行きました。最後まで岸壁で見送っていたのは民喜さんだったと、遠藤さんは後に語っていたそうです。

 

さて、遠藤さんがフランスに留学する少し前のことです。遠藤さんのもとに、民喜さんから葉書が届きました。

 

そこには「次の謎を解いてごらんなさい」という言葉とともに、詩が書いてありました。

 

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エメラルドの空から
運命が湧いてでるなら
どうしてわたしは防ぎ得よう
運命のたわむれ
残された命

薔薇の蕾ふくらみ
かなしみの色、眼にひそむ

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遠藤さんはその時に、この詩を「縦読み」すると、言葉が現れることには気がつかなかったそうです。

 

かなり経って分かりました。

 

「えんどうのばか」です。
 

 

分かった時にはすでに民喜さんは亡くなっていました。

 

悲しいですね。              

author:eiko, category:本の紹介, 05:35
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