- 古川薫は生涯 『長州人』にこだわった作家です。
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2018.06.06 Wednesday
こんにちは。
今年の5月初め、山口県在住の作家である古川薫さんが亡くなりました。
山口県に生まれ、山口大学を卒業後、山口新聞に入社。1965年に退社後、小説家として、常に「長州人」にこだわった作家でした。
新聞記者であった古川さんの立位置は、司馬遼太郎さんの立ち位置と似ていると思います。
史実を踏まえ、登場人物の口から歴史を語らせる。時には、史実以上、その姿が人の記憶に残る登場人物を生みだした作家。
今回、児玉源太郎のことが知りたいと思って、『天辺の椅子』を図書館で借りて読みました。
また、同時期に児玉源太郎と乃木希典の生涯を描いた『斜陽に立つ』も読みました。
生涯、司馬遼太郎氏に尊敬の念を示していた古川さんですが、『斜陽に立つ』は、『殉死』や『坂の上の雲』で司馬さんが描いた乃木将軍の姿は納得できず、それに反論するために書かれた作品です。
その中で意外な事実を知りました。こう書いてありました。
「ここで断わっておきたいのだが、筆者(古川)は山口県で生まれ育った人間である。だが両親は広島県出身だ。話が血統のルーツを山口県の隣接地に置いたスタンスで長州という風土を眺めている」
そうだったんだ。
それで、どこか長州人のことを描きながら、アウトサイダーからの視点を持っていた方だったんですね。納得しました。
私は児玉源太郎が好き。歴史上で最も尊敬する人物の一人です。
その児玉源太郎のことを知るには『天辺の椅子』は絶好の1冊です。
お勧めします。