- 『安藤忠雄 建築手法』 のインタビュアーである二川幸夫さんはすごい
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2015.09.28 Mondayこんにちは。
数日前、『安藤忠雄 建築手法』を図書館で借りて読みました。
この本を企画・編集・インタビューし、発行したたのは二川幸夫(ふたがわ・ゆきお)さんです。
二川さんというと建築評論家で、『GA Architect』という建築の写真誌を発行している人として知られています。
残念ながら、数年前に亡くなっています。
私は3年くらい前に、二川さんが日本の建築家にとても大きな影響力を持っていることを感じました。
小説家にとって江藤淳さんや山本健吉さんなどの批評家が大きな影響力を持っているように、建築家にとって、「目利きの」建築評論家の存在はとても大きいのでしょうね。
この本の中で、いくつかの安藤忠雄さんの代表作が紹介されていて、その経緯などを安藤さんと二川さんが話し合っているのですが、質問が良いと回答も良いというとてもいい関係です。
ここで紹介されていた愛媛県西条市の光明寺(安藤さん設計の木造建築)をぜひ訪ねたいと思いました。
ところで、この中で何度か「光の教会」についても安藤さんが語っているのですが、この本が出版された2005年の段階でも、安藤さんは「光の教会」に十字の形でガラスを入れているのですが、それを外し、自然光としたいということを繰り返し述べています。
ガラスを入れることで、このコンクリートの教会の防寒となっているのですが、自然光に比べると輝きが薄れるようです。
それで、安藤さんは教会に参列する人や牧師さんが服をたくさん着込むことで、この本来の寒さにも耐える必要があるのでは、とずっと主張していて、教会関係者と意見対立があったのだと、その前に読んだ『光の教会 安藤忠雄の現場』で知りました。
1989年の「光の教会」建設時の逸話ですでに終わった話かと思っていたのですが、まだ、安藤さんは主張しているのですね。
恐るべし。
- 石丸先生の書かれた 『世界平和記念聖堂』 は私の大好きな本です
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2015.09.27 Sundayこんにちは。
昨日、石丸紀興(いしまる・のりおき)先生の講演会があり、参加しました。
とても貴重なお話をお聞きしました。
私は20年来の石丸先生のファン。
というのは、20年くらい前、家族の持っている本の中に『世界平和記念聖堂 広島にみる村野藤吾の建築』(石丸紀興著)を発見。読んだところ、すごい本だったからです。
それ以来、繰り返し読み続けています。
広島を代表する戦後の建物である世界平和記念聖堂の建設の経緯、設計コンペの時の丹下健三、村野藤吾、グロッパー修道士の意見対立の逸話、広島のキリスト教伝導史などがとても分かりやすく書かれています。
専門的な一冊でありながら、一般の人にも読みこなせる内容。
論理的な部分と情感に訴える部分のバランスがすごくいいんです。
登場する人物もキャラクターが濃い。読んでいて、爆笑するシーンがあります。
広島を愛する人、建築を愛する人にお勧めの一冊です。
- 英語を話す際、大きな誤解につながる表現がいくつかあります
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2015.09.25 Fridayこんにちは。
英語でコミュニケーションをしていて、いくつか大きな誤解につながる表現があるなあ、と思っています。
その1つは maybe。
日本人が maybe という時、「おそらく」というニュアンスで使っていると思います。100%ではないけれど、かなり高い確率で yes と言っている感じ。
ところが、英語圏の人は maybe と聞くと、かなり確率が低い、または相手にやる気がない、という印象を受けるようです。
私も、日本人が maybe と言って、相手ががっかりしているのを見たことがあります。
had better も誤解されることばです。
私の尊敬する日系アメリカ人の先生は、来日してすぐの時に生徒から、You had better go to Miyajima と言われて、とても驚いたよくおっしゃいます。
had better というのは、「そうしないと、ひどい目にあうぞ」といったニュアンスがあるらしいのです。
It's OK も日本人の思っている感じと違うようです。
It's OK と言って、語尾が少し上がる時は、「うーん、悪くはないけどね」という感じ。「良かったよ!」という感じではないんですね。
「昨日のお好み焼きどうだった?」と聞いて、「It's Ok...」というと、あんまり気にいってないんだなあ、と思います。
こういった表現の実際のニュアンスは辞書だけでは分からないので、実際に使ってみた時の相手の顔とかで感じをつかみたいところです。
失敗を恐れず、話し続けるのがいいですね。
- 「住吉の長屋」はしゅっとした佇まいでした
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2015.09.24 Thursdayこんにちは。
昨年の夏、大阪に行く用事があったので、住吉大社を訪れました。
大阪の人にはとても重要な神社だと言うので、興味があったのです。
それともう1つ、すぐ近くにあるという「住吉の長屋」を一目見たいと思いました。
安藤忠雄さんの初期の代表作といわれる「住吉の長屋」(1976年竣工)は3軒長屋の真ん中の1軒を建て替えたものです。
施主は安藤さんが設計した住居を見て、この人に設計してもらいたいと思ったという人。広告代理店に勤めていた30代の人です。
安藤さんも当時30代前半。
この建物は間口が狭く、細長い「鰻の寝床」のようなんです。
それで、3つに分かれていて、真中は中庭。ここから光が入るんですね。
でも、表の部屋から、奥の部屋に行く際に中庭を通らないといけない構造です。
雨の日には傘をさして、トイレに行くことになるとか・・・
住みにくそうですよね。
でも、現在70歳くらいの施主は、その不便さも含めてこの住居を愛しているようです。
「どうしてそれが分かるか」ですか?
この家の前に数分間立って、表を眺めただけですが、住んでいる人の愛が伝わってきました。
- 『光の教会 安藤忠雄の現場』 は素晴らしい本でした
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2015.09.23 Wednesdayこんにちは。
先週、直島を訪ねた時、安藤忠雄さんが設計したベネッセパークのラウンジで1冊の興味深い本に出会いました。
『光の教会 安藤忠雄の現場』(平松剛著)
出版社は「建築資料研究社」です。
読んだ後で分かったのですが、作者の平松剛さんは構造設計の専門家。出版社も建築資料研究社ですので、建築のプロが建築のプロをテーマとして書いた作品です。
やたらコンクリートの打ち方など細かい描写が続く個所もあります。
それで、建築関係者にとって本格的な1冊であることは間違いありません。
しかし、この本は「これから建築を目指す若い人を含めて、建築に関心を持つ多くの人向けに発信されている」(編集者のあとがきより)のです。
この本の装丁は和田誠さん。約400ページの分厚い本ですが、この表紙に目を惹かれ、ぱらぱらとめくると、「これは絶対読まないとね」と直感しました。
そして、まさにそうでした。
安藤忠雄さんの初期の代表作というと「住吉の長屋」と「光の教会」です。
この2つには安藤さんも思い入れが強いらしく、直島のANDO MUSEUMにも「住吉の長屋」と「光の教会」の縮尺モデルが展示されています。
私はこの2つの建物が生まれるまでのストーリーが好き。
そして、建築後、数十年たっても大切にされている佇まいに感動しています。
どちらもとても印象的で芸術的な作品ですが、住居として、教会として日々活用される建物である以上、「快適」であるかも重要な要素です。
それが、この2つはどうも違うらしい。
冬底冷えがしたりするらしいんです。
その不便さも飲み込んで、この建物を本当に愛することが出来るのか?
そもそも、どういう人がこの建物を建てることに同意したのか?
興味深いですよね。
「光の教会」に関する建設のいきさつ、そして施工者の並々ならない苦労が手に汗握るように伝わってきます。
「あー、プロの仕事とはこういうものか」としみじみする1冊です。
- 「アクセントの強い英語を聞くコツがありますか?」
- 山の上のホテルで愛らしいヤマガラを見かけました
- 「カメノテ」にぎょっとしました
- 駅のコーヒーショップに必須のもの